22 企業側の労働問題 懲戒処分の公表が被懲戒者と...
<22 懲戒処分の公表が被懲戒者との関係で不法行為になり得るか> プロシード法律事務所代表弁護士の佐藤竜一と...
- 2023.10.01
<16 懲戒処分を行った事実について、重ねて人事上の措置を行えるか>
プロシード法律事務所代表弁護士の佐藤竜一と申します。本事務所では週一回所内で企業側からみた労働問題について所属弁護士間で研究会を実施しています。本ブログでは当該研究会での議論を踏まえ、企業側の視点からみた労働問題について、随時情報を発信しています。
今回は、懲戒処分を行なった事実について、重ねて人事上の措置を行うことが出来るかについてお話しします。
懲戒処分の基礎事実となる一つの非違行為について、二回の懲戒処分を行うことは許されません。例えば、一旦懲戒処分としての出勤停止処分をした後で、重ねて懲戒処分としての降格をすることなどが考えられます(なお、懲戒処分を行う前提としての自宅待機命令は懲戒処分そのものではありませんので、この点は注意が必要です)。
もっとも、過去に懲戒処分を受けている事実を、別の非違行為の懲戒処分の量定を考える際に考慮することは可能です。例えば、譴責処分や出勤停止処分を受けた労働者に対して、今回は懲戒解雇を選択する一事情として考慮するというようなケースです(例えば、東京地判平成14.4.22労判830号52頁)。
また、懲戒処分を受けたことを人事考課の事情として考慮したり、人事上の措置を行うことは許されます。懲戒処分としての出勤停止の後に、人事権の発動としての降格を実施するケースです(東京地判平成26.7.17労判1103号5頁。ただし出勤停止は重すぎるという理由で無効と判断)。
貴社が懲戒処分と人事権の発動を考えておられるようなケースがあれば、気軽にご相談ください。
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